
民泊に火災保険は必要?加入するメリットや相場、おすすめ保険を紹介
これから民泊運営を始めようと考えている方にとって、物件の準備や集客方法と並んで気になるのが「火災保険は必要なのか?」という点ではないでしょうか。民泊は不特定多数のゲストを受け入れるため、通常の住宅よりも火災や水漏れ、破損などのリスクが高まります。
そのため、万が一に備えて適切な保険に加入しておくことがとても重要です。
この記事では、民泊に火災保険が必要とされる理由や加入するメリットについて紹介します。安心・安全な民泊運営のために、ぜひ最後までご覧ください。
CONTENTS
民泊の火災保険の相場

民泊向けの火災保険の保険料は物件の構造や立地、運営形態によって大きく異なりますが、おおよそ年間2万円〜5万円程度が一般的な相場とされています。
補償内容によっても相場は変動するため、単に価格だけでなく、補償範囲や支払限度額なども考慮して選ぶことが大切です。
民泊における火災保険の基礎知識

ここからは、民泊における火災保険の基礎知識について紹介します。
一般の火災保険は適用されない
民泊運営を行う際に見落とされがちなポイントのひとつが、一般の火災保険では補償の対象外になるという点です。通常の火災保険は「自己居住用の住宅」や「家族が住む住居」を前提に設計されており、不特定多数の人が出入りする民泊物件のような事業用途には適していません。
保険契約時に民泊としての使用を申告していない場合、いざ火災や水漏れなどの事故が発生しても、保険金の支払いが拒否される可能性が高まります。仮に同じ建物でも、居住スペースと民泊用スペースが分かれている場合、補償対象の範囲に差が出るケースもあるでしょう。
民泊専用保険の加入が必要
民泊として物件を活用する場合、専用の火災保険に加入する必要があります。民泊専用保険では、火災や落雷などの基本的な補償に加え、宿泊者による設備の破損や盗難といったゲスト起因の損害にも対応しているものが多くあります。
さらに、事故によって営業が一時的に停止せざるを得なくなった場合の「休業補償」が含まれている保険もあり、実際の損失をカバーできるでしょう。
特に民泊を主な収入源としている方にとっては、こうした補償があることで経営の安定性が確保されます。
民泊の火災保険・専用保険に加入するメリット

ここからは、民泊の火災保険・専用保険に加入するメリットについて紹介します。
火災・災害時に確実に補償される
民泊運営中に火災や自然災害などの予期せぬトラブルが発生した場合、専用の火災保険に加入していれば、経済的損失を大きく抑えることができるでしょう。特に火災は、物件そのものを失うだけでなく、備品や内装、運営そのものに多大な影響を及ぼします。
こうした損害に対して、補償対象が曖昧な一般住宅向けの火災保険では支払いが認められない可能性が高いのに対し、民泊専用保険は「事業用」としての使用を前提に設計されているため、補償対象として明確に認められます。
さらに、台風や地震などの自然災害による損害についても、オプションとして補償範囲を拡張できる保険商品もあり、地域のリスクに応じた備えが可能です。保険金が迅速に支払われれば、修繕費用や再建費用の捻出に苦しまずに済み、運営再開までの時間を短縮することにもつながります。
ゲストとのトラブルに対応できる
民泊運営では、ゲストとの間にトラブルが発生することも珍しくありません。例えば、家具や設備の破損、室内の汚損、鍵の紛失、さらには騒音による近隣住民とのトラブルなど、さまざまなリスクが存在します。
こうしたトラブルに対して、民泊専用の保険に加入していれば、ゲストによる損害を補償対象として扱うことができ、運営者自身が負担する必要がなくなります。また、第三者への損害賠償責任が問われるような事態に発展した場合にも、賠償責任保険の補償を通じて、法的リスクを回避することが可能です。
営業できない期間の逸失利益もカバー可能
火災や水漏れ、施設の損傷などにより一時的に営業ができなくなった場合、収入の途絶は民泊運営者にとって大きな打撃となります。しかし、民泊専用保険の中には、営業停止期間中に生じた収益の損失、いわゆる「逸失利益」を補償するタイプもあり、予期せぬ経済的ダメージから守ってくれます。
特に繁忙期に事故が起きた場合、本来得られるはずだった売上がゼロになってしまうことは避けたいリスクのひとつです。
このような状況でも、補償が適用されれば、運営再開までの資金繰りに余裕が生まれ、焦らずに修繕や再開準備に取り組むことができるでしょう。民泊は季節やイベントに左右されやすく、タイミングによっては逸失利益が非常に大きくなるケースもあるため、こうした補償があることは、特に専業で民泊を運営している人にとっては心強い支えとなります。
民泊のおすすめ火災保険・専用保険

ここからは、民泊のおすすめ火災保険・専用保険について紹介します。
一般社団法人民泊民宿協会
一般社団法人民泊民宿協会は、民泊事業者の支援を目的に設立された団体で、独自に民泊ホスト向けの火災・損害保険を提供しています。この協会の保険は、会員限定で加入できる仕組みとなっており、比較的低コストでありながら、必要十分な補償が得られる点が特徴です。
特に注目すべきは、火災や水漏れといった基本的なトラブルに加えて、ゲストによる備品の破損や盗難、さらには第三者への賠償責任にも対応している点です。また、実際に民泊運営者の声を反映して作られた商品であるため、現場のニーズに即した補償内容になっているのも魅力です。
万が一の事故が起きた際も、協会が間に入ってサポートしてくれる体制が整っているため、はじめて民泊を運営する方にも安心しておすすめできる保険です。
三井住友海上火災保険「民泊保険」
三井住友海上が提供する「民泊保険」は、大手損害保険会社ならではの信頼性と、幅広い補償内容が魅力の保険商品です。この保険では火災や落雷による損害のほか、水濡れ、盗難、さらにはゲストによる破損行為までをカバーしており、民泊運営に必要なリスク対策を包括的に網羅しています。
保険契約は建物の構造や宿泊スタイルに応じて柔軟にプランを調整でき、法人・個人を問わず幅広い事業者に対応しています。
全国に広がる代理店ネットワークやカスタマーサポート体制も整っており、トラブル時にはスムーズな対応が期待できるでしょう。
損保ジャパン「日本ホスト保険」
損保ジャパンが提供する「日本ホスト保険」は、Airbnbをはじめとした民泊プラットフォームを活用するホスト向けに開発された専用保険です。
日本ホスト保険では、前述した保険と同様に火災や水漏れなどの通常の補償に加え、宿泊者による過失や損害への補償が充実しています。
また、補償内容はパッケージ化されており、保険の知識があまりない初心者の方でも選びやすい仕組みになっています。契約の際には、損保ジャパンの専門スタッフによるコンサルティングを受けることも可能で、自身の運営スタイルに適した補償を提案してもらえる点も安心材料になるでしょう。
東京海上日動火災保険「民パック」
東京海上日動の「民パック」は、民泊事業者向けにカスタマイズされた保険商品で、火災、盗難、設備損壊、賠償責任といった幅広いリスクをカバーしています。
特に注目されているのが、宿泊者の行動に起因する事故に対する補償が手厚い点で、ゲストによる施設の破壊や汚損といったトラブルにも対応しています。さらに、地震による損害補償をオプションで追加できるなど、地域特性に応じたリスク対策も可能です。
「民パック」は、個人オーナーから法人事業者まで幅広く対応しており、運営形態に応じて柔軟に保険設計が行える点も大きな魅力と言えるでしょう。
火災に備えて安全に民泊運営しよう
民泊運営において、火災やゲストとのトラブル、設備の破損といったリスクは避けて通れない現実です。だからこそ、事前に適切な保険に加入しておくことは、安全で安定した運営を実現するための重要なステップとなります。
特に専用の火災保険は、民泊という事業特有のリスクに対応するために設計されており、補償内容も一般住宅用の保険とは一線を画しています。万が一のトラブルが発生しても、保険によって経済的ダメージを最小限に抑えられれば、運営者自身の精神的負担も大きく軽減されるでしょう。
民泊をビジネスとして成功させるためには、こうしたリスク管理の視点が欠かせません。トラブルが発生した後に慌てるのではなく、前もって備えておくことで、ゲストにも安心感を提供でき、信頼されるホストとしての評価にもつながります。