
民泊で資格は必要?あると便利な資格をご紹介!
皆さんは、民泊に関連する資格や法律がどのぐらいあるのかご存知ですか?事業を始める前に、まずは法律や資格について理解しておくことがとても大切です。
そこで今回は、民泊ビジネスをするにあたって持っておくと便利な資格をご紹介します。資格を取りたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。なお、法令などは順次改訂されるため、最新情報を取り入れておきましょう。
CONTENTS
民泊をするのに資格は必要?
民泊を運営するうえで、資格は必須なわけではありません。しかし、家主不在型で自分で運営する場合には、住宅宿泊管理者への登録が義務付けられています。
また、住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づいた自治体への届出も必要です。他にも、民泊に関連して運営に役立つ資格もあるので確認しておきましょう。
参考:就労ビザサポート行政書士
民泊運営であると有利な資格
民泊運営を行うにあたって有利な資格とは、どのようなものがあるのでしょうか?ここでは、持っておくと役立つ資格と要件、取得方法をご紹介します。
事業に役立つ資格があれば、ぜひ取得を検討してみましょう。
宅地建物取引士
宅地建物取引士は、不動産取引に関する専門知識を持ち、契約書の作成や重要事項の説明を行うことができる資格です。
取得要件
- 学歴要件:最終学歴が大学卒業
- 宅地建物取引主任者の資格取得
- 実務経験:3年以上
- 宅地建物取引士法定の講習
取得方法
- 宅地建物取引主任者試験の受験
- 実務経験の取得
- 講習の受講
- 申請と認定
宅建の資格を持っていると、民泊物件の購入や賃貸契約をスムーズに進めることができるメリットがあります。
民泊適正管理主任者
民泊適正管理主任者は、民泊施設の適正な管理と運営を確保するために必要な知識と技能を持つことを証明する資格です。
取得要件
- 学歴要件:最終学歴が大学卒業
- 民泊適正管理主任者の講習修了
取得方法
- 講習の受講(4時間の動画視聴とレポート提出)
- 合格判定
- 登録
具体的には、施設の衛生管理、安全対策、法令遵守など、民泊運営における基本的な管理業務を適切に行うためのスキルを習得します。実務経験がなくても受けられる資格なので、取得までのハードルが低いのも嬉しいポイントです。
民泊適正管理主任者の資格を持つことで、ゲストに対して安心・安全な宿泊環境を提供することができます。
一級建築士
一級建築士は、建築物の設計や工事監理を行うための国家資格であり、民泊施設の新築や改修工事を自ら設計・監理することが可能となります。
受験資格
- 大学や学校での指定科目の修了
- 実務経験
- 二級建築士
- 建築整備士
取得方法
- 学校に通う
- 実務経験を積む
建物の耐震性や防火対策、バリアフリー対応など、ゲストの安全と快適さを最大限に考慮した設計が実現できます。
旅館業法の図面作成は、細かい規定があるため、一級建築士に依頼することが多く、自分で図面を引きたい場合は資格が必要になります。
受験のハードルは高いですが、二級建築士の資格を持っていたり実務経験を積んだりした方は、取得を検討してみても良いでしょう。
賃貸不動産経営管理士
賃貸不動産経営管理士は、物件の管理や運営に関する法令や実務に精通した専門知識を持つ資格です。
取得要件
- 学歴要件:最終学歴が大学卒業
- 実務経験:2年以上
- 講習修了
取得方法
- 講習の受講
- 実務講習の受講
- 登録申請
賃貸物件の維持管理や修繕、清掃など、賃貸不動産に関する幅広い業務のノウハウを身につけられるのが特徴です。
また、賃貸不動産経営管理士の資格を持つことで、賃貸契約の締結や更新、解約手続きなどの法的手続きをスムーズに行うこともできます。
具体的には、適切な賃料設定や空室対策、マーケティング戦略などを考えることで物件の稼働率アップに繋げられます。
管理業務主任者
管理業務主任者は、マンションやアパートなどの集合住宅の管理業務に関する専門知識を持つ資格です。
取得要件
- 学歴要件:最終学歴が大学卒業
- 実務経験(2年以上)
- 講習の修了
取得方法
- 講習の受講
- 実務経験の取得
- 登録と交付
受験資格は特にありませんが、登録をする場合は実務経験が必要となります。管理業務主任者の資格は、建物の維持管理や修繕計画の立案、実施に関する知識を持つことができ、民泊物件のメンテナンスを効率的に行うことができます。
マンション管理の知識があると、管理組合から民泊の許可をもらう際に好印象を与えられるでしょう。
自分で民泊を運営したいなら「住宅宿泊管理業者」に登録する
自分で民泊を運営したいなら「住宅宿泊管理業者」に登録しましょう。住宅宿泊管理業者とは、民泊物件の管理を専門に行う業者のことを指し、適切な運営を行うための知識とスキルを持っています。
主な業務内容は、以下の通りです。
- ゲストの名簿の作成と保管
- 賠償保険への加入
- 衛生管理
- 近隣住民からの苦情への対応
- ゲストに対してゴミ出しや騒音などの注意事項の説明
- マンションの管理規約に反していないかの確認
- 賃貸仮契約に違反していないかのチェック
住宅宿泊管理業者に登録するためには、いくつかの要件を満たす必要があるため、まずは要件を確認しましょう。
登録要件
登録要件は以下の4つで、いずれかを満たしている必要があります。
- 宅地建物取引士の登録を受けている
- 管理業務主任者の登録を受けている
- 賃貸不動産経営管理士の登録を受けている
- 住宅の取引または管理に関する実務経験が2年以上ある
上記のどれにも当てはまらない場合は、そもそも住宅宿泊管理業者としての登録はできないため、注意しましょう。
登録方法
- 必要書類の準備:登記事項証明書や損益計算書、などの書類を準備します。
- 申請書の提出:申請書に業務内容や管理体制の詳細を記入し、管轄の行政機関に提出します。
- 審査の受け付け:申請にかかる時間は90日程度ですが、修正が必要になった場合はさらに長引く可能性もあるので気をつけましょう。
- 登録の承認:書類に問題がなければ、正式な登録証が発行されます。
- 登録料の支払い:新規で登録する場合は、登録免許税として9万円を支払います。
住宅宿泊管理業者の資格は、5年ごとに更新しなければいけないため、取得した後も更新は忘れず行いましょう。
住宅宿泊管理業者は要件緩和へ
近年、民泊市場の拡大に伴い、政府は2025年度に国交省令を緩和する方針を発表しています。
緩和条件
- 2年以上の実務経験撤廃
- 書類や手続きの簡易化
必要条件
- 通信講座20時間
- 講義7時間
- 修了試験の合格
この要件緩和の背景には、観光業の振興や地域経済の活性化を図る目的があります。
特に、地方都市や観光地では、民泊が地域の宿泊施設不足を補う重要な役割を果たすことになるでしょう。要件緩和で登録へのハードルが低くなるため、より民泊に参入しやすくなります。
民泊を始めるなら知っておくべき3つの運営形態
民泊を始めるにあたって持っていると便利な資格について紹介してきました。続いては、民泊を始めるなら知っておくべき3つの法律と運営形態を押さえておきましょう。
安心安全に利用できる民泊施設を運営するためにも、しっかり理解しておくことが大切です。
民泊新法
民泊新法(住宅宿泊事業法)は、2018年6月15日に施行された法律で、民泊事業を行うための基本的なルールを定めています。この法律の目的は、民泊の健全な発展と利用者の安全を確保することです。
例えば、宿泊施設の衛生管理や防火対策、近隣住民への配慮などが求められます。自治体に届け出を行えば事業が開始できるので、ハードルが低く始めやすいのが特徴です。
ただし、年間180日以内の営業日数制限があるため、制限日数を超えての稼働はできません。
旅館業法
旅館業法は、宿泊施設の衛生管理や安全対策を確保し、利用者の健康と安全を守ることを目的とした法律です。
旅館業では、3つの営業形態が定められています。
- 旅館・ホテル営業
- 下宿営業
- 簡易宿所営業
民泊は、主に簡易宿所営業に該当します。
施設の構造や設備が一定の基準を満たしたうえで、自治体に営業許可を取得する必要があります。また、営業できるエリアも制限されているため、3つの運営形態の中では申請へのハードルが最も高いです。
しかし、許可が下りれば営業日数の制限を受けずに稼働できるというメリットもあります。
特区民泊
特区民泊は、国家戦略特区に指定された地域でのみ認められる民泊形態です。国家戦略特区とは、地域の特性を活かして経済成長を促進するために、規制緩和や特別な措置が講じられる地域のことを指します。
民泊新法よりも柔軟な運営が可能であり、地域の観光振興や経済活性化に寄与することが期待されています。
特区民泊の特徴は、以下の2つです。
- 最低宿泊日数:2泊3日
- 営業日数:制限無し
特区民泊を運営するためには、特区ごとに定められた要件を満たしたうえで自治体からの認定が必要です。
まとめ
民泊を始めるにあたって、資格の有無や取得することで得られるメリットが数多くあります。また、民泊に関する知識を深めるためにも、何か資格を持っておくと運営に役に立ちます。
時間がかかるものや取得が難しいものもあれば、講義の受講や試験で取得できるものもあるので、目的や取りやすさも考慮しましょう。専門知識や運営のノウハウを身につけることで、より安全で快適な宿泊施設の提供に繋がります。